食欲も良かった父が、食べれなくなるなんて思いもしませんでした。
少しずつ食べるのが減って、食べる時にむせたりするのも多くなってきたある日、突然息苦しくなったようで、救急車を呼んで救急病院へ直行。
診察の結果、誤嚥性肺炎ということで入院することになりました。
誤嚥性肺炎は間もなく治ったのですが、すぐにまた誤嚥を起こして、気管から肺にバイ菌が入ったために気管支炎を起こすという悪循環になっていました。
喉の状態を診てもらうと、気管のフタの役目をする声帯が常時開いたままになっているようでした。
気道に食べ物や飲み物を入れないようにするためにノドには喉頭蓋(こうとうがい)という気道にフタをする役割のものがあります。
この喉頭蓋(こうとうがい)がうまく作動しなくても、声帯が通常は閉じているので間違って気道に入るのを防ぐのですが、常に声帯が開いたままになってしまっていました。
これでは、物を食べたり飲んだりすると、気管にも間違って入ってしまいやすくなります。
いわゆる誤嚥という現象です。
そして、誤嚥性肺炎になると気道の粘膜を傷つけて、異物に対する反射機能を鈍くするのです。
反射機能が鈍くなると、間違って気道に食べ物や唾液が入り込んでもむせにくくなり、誤嚥した食べ物や唾液などを反射的に吐き出すことができなくなるようです。
父は誤嚥を繰り返しやすくなっているため、口からの食事は気管に食べ物が間違って入りやすいので禁止となりました。
ほぼ寝たきりになってしまった父の唯一の楽しみであった食事ができないことになってしまうのは父にとってどんなにつらいことか・・・。
その後、嚥下リハビリをして状態を改善するように試みてもらったのですが、食べ物を使っての嚥下リハビリをすること自体が危険だと判断され、お腹に直接胃につながる穴を開けてチューブで栄養を胃に入れれるようにする胃ろうの必要性を説明されました。
ここで胃ろうするか、しないかの判断をすることになりましたが、胃ろうして延命しても父は苦しい生活を続けるだけだと思い、胃ろうはしないということにしました。
胃ろうまではしなくても、鼻から胃にチューブを通す経鼻経管という方法で栄養を直接胃に入れる方法も検討しました。
経鼻経管も一旦胃に入ったものが、食道を通して喉まで戻ってきて、それが気管に入る危険性があるということで、見合わせることになりました。
結局、胃ろうや経鼻経管では誤嚥を引き起こす可能性があるため、誤嚥を引き起こすことのない点滴による栄養補給をすることになりました。
肺の炎症の気管支炎が完治すると退院することになります。
今までは普通の介護施設で面倒をみてもらっていたのですが、少し医療的な処置ができる施設を探すしかなさそうです。
父の場合、食事(栄養)は点滴で行う必要があり、痰もからみやすいので痰吸引が可能な施設でないといけないことになりました。
点滴やたん吸引ができる施設として、療養型病院に転院する様な形で病院を探すことになりそうです。